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エンパワメントの意味|看護領域でどうとらえればいいかを解説

看護領域でもエンパワメントという言葉を頻繁に聞くようになりました。 エンパワメントには、「権限を与えること」「自信を与えること」「力を付けてやること」と言った意味合いがありますが、現場でどのような使われ方をしているのかイメージできますか? この記事では、看護領域でのエンパワメントについて知ることができます。

1.エンパワメントとは

エンパワメントとは、個人、また集団が本来持っている潜在能力を引き出すことを意味します。 エンパワメントが目的としているのは、人たちそれぞれが本来もっている素晴らしい潜在能力があることを前提として、その能力を能動的に表面化させることにあります。

1-1.エンパワメントの成り立ちの背景

エンパワメントはもともとは、20世紀にアメリカで起こった市民運動や先住民運動など公民権運動で提唱されていた考え方からはじまります。 また、1980年代の女性の権利獲得運動を経緯し、世界的に注目されるようなワードとなりました。 〝地域社会において、抑圧された人たちがいる。そのような者たちに働きかけ一人の個人として重要性を認めるべきではないか。〟 それがエンパワメントの発端です。

2.エンパワメントが注目されるようになった理由

エンパワメントが注目を集めるようになった理由には、
・意思決定にスピードが求められている ・人材育成の重要性
などをあげることができます。

2-1.意思決定にスピードが求められている

エンパワメントがそれほど重視されていない時代、それぞれ組織では、現場で決定したものを経営者や管理職が最終的に判断するので、意思決定のスピードは非常にスローになってしまう傾向が顕著にありました。 いま、求められているのは意思決定のスピーディー化です。そのために、必要とされているのは現場で判断することです。そのために、エンパワメントが注目されるようになり、組織に積極的に導入されるようになりました。

2-2.人材育成の重要性

企業では、少子高齢化の問題であったり、働き方の多様化などの理由で人材不足が深刻な問題として露呈しています。 今までのようにイチから人材を育成していくのではなく、よりスピーディーに戦力として使うことができる人材を育成しなければならなくなった現実を受け入れるためにエンパワメントが重宝されるようになりました。 エンパワメントにより、若い人たちにも業務の裁量や責任が発生するきっかけをもたらすことになります。

3.エンパワメントがもたらすメリット

エンパワメントによって、人材育成ができるなどメリットがもたらされることになります。

3-1.人材育成ができる

エンパワメントを行使することで、人たちそれぞれが自分自身で判断する機会を今まで以上得ることができるようになります。 しなければならないことが目の前にあれば単にこなせばいいという発想ではなく、最善の方法を考え、よりベストな結果となるように試行錯誤を繰り返するなどの向き合い方をすることができるようになります。

3-2.能力、個性を発揮できる環境を構築できる

エンパワメントがフル稼働していない社会では、自分自身に可能性があったとしても埋もれたままの人たちがとしても多くいました。 エンパワメントで権限移譲が行われれば、進め方や計画などに裁量を与えられ、本来ある力を発揮しやすくなります。

3-3.ひとりひとりに責任感が生まれる

他の人がいつも権限を持っている状態では、「あとは誰かがなんとかしてくれるだろう」という甘えがどうしても定着してしまうことになります。 エンパワメントによって権限を付与されるということにより、しなければならないことに責任を持つことができます。

4.エンパワメントのデメリット

一方でエンパワメントにはデメリットもありますので、そちらも確認しておきましょう。

4-1.社員の管理が難しくなる

エンパワメントによって社員に権限を移譲してしまったことで、それぞれ社員が思い思いに動いてしまい、管理が難しくなってしまうことがあります。エンパワメントを取り入れたばかりに会社内がバラバラになってしまうこともあるかもしれません。 しかし、そのような問題は、段階的に権限を移譲したり、仕組み、管理体制をまずは構築することで阻止することができます。

4-2.ミスが起こるリスクが高まる

部下に責任をもたせたとしても、部下が経験不足であれば力量にあわない課題を与えられて相当ストレスをためてしまっているかもしれません。また、ミスが連続して起きてしまうこともあるでしょう。 エンパワメントを、部下に任せっきりにすればいいと誤訳してしまえば、このような問題が起きてしまうことになります。 エンパワメントは部下に任せっきりにすることではなく、適度なフォローなどを行い、ミスが起きないシステムを作ることが大事です。

5.看護領域でのエンパワメントの流れ

看護領域では、行動であったり意思決定の主体は患者様側にあります。看護師は、患者様に対して補佐的援助を行う立場です。 エンパワメントを有効的に活用するために、 ・成果を決定 ・現状の問題点・課題を明確化する ・目標を決める ・課題解決のための計画 ・行動の結果を評価する の流れで患者様と接してみましょう。

5-1.成果を決定

看護師は、まずは患者様にもたらして欲しいと思っている成果を決定します。 例えば、糖尿病の患者様が自律した食事管理が苦手という状況であれば、もたらしたい成果とは、患者様に食事管理に前向きに取り組んで欲しいです。 また、もたらしたい成果は、患者様に潜在している能力に合わせる必要があります。

5-2.現状の問題点・課題を明確化する

そして、看護師が成果を実現するためには、現状の問題点・課題を明確化する必要があります。 患者様の側にいる看護師は、患者様と頻繁に対話することによって、問題点であったり課題を掘り下げていきます。 例えば看護師が、患者様に対して「悩みはありますか?」と聞くことで、患者様が現在入院生活に対してどのような悩みや気持ちを持っているのか知ることができます。

5-3.目標を決める

次は、患者様が目標を決定します。目標を決定するのは、看護師ではなく患者様の方です。 ここでも対話が大事なポイントです。対話することによって、無理のない目標値を設定するようにしましょう。

5-4.課題解決のための計画

次は、課題解決のための計画をたてていきます。これも、計画の立案は患者様自身となります。看護師は対話を通して、患者様が計画を立てられるように援助する立場です。 看護師は「血糖値を下げる食事について何か考えはありますか?」などの質問を行い、患者様の考えを引き出すといいでしょう。

5-5.行動の結果を評価する

そして、次には計画に沿い実際に行動した結果を患者様自身に評価してもらいます。 たとえば看護師は「新しい食事にトライしてみてどうでしたか?」などの質問をし、患者様に振り返りを促してみてはどうでしょうか。 また、成功や失敗の判断基準による評価だけではなく、行動したことによって患者様がどのような気付きを得たかも引き出すことも大事です。 患者様が得られた気付きを基にして、課題を見直し、改善して、次の問題点や目標を設定しましょう。

まとめ

いかがでしょうか。今回は、エンパワメントの意味、看護領域でのエンパワメントの使われ方について解説しました。 エンパワメントは、看護領域においても看護師と患者様との間で有効的に活用することができます。 患者様にエンパワメントがうまく浸透することで、いい方向へと成長してくれるでしょうし、ひとりひとりの個性を発揮してくれます。それぞれ患者様に責任感が生まれ、モチベーションをアップすることができます。 患者様がうまくエンパワメントを取り入れるために、看護師のサポートはとても大事です。 エンパワメントを重視した看護師として働きたい方は、クラッチナースの利用がおすすめです。

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