2025年問題が医療や看護師に与える影響と今後について詳しく解説!
2023/08/01

日本社会全体で問題視されている「2025年問題」。いろいろな問題が起こるとされていますが、特に医療業界に与える影響は深刻なものとなると考えられています。もう少しで訪れる2025年に備えて、2025年問題が起こると医療や看護にどのような影響があるのか、また、今後のビジョンについてなどを詳しく解説していきます。
まずはおさえておきたい!「2025年問題」とは?

2025年問題は2025年にのみに起こることではありません。医療や看護師への影響の前にまずは、2025年問題がどのような問題であり、なぜ、問題視されているのかをおさえておきましょう。
団塊の世代が75歳以上になる2025年
2025年には、団塊の世代といわれる第一次ベビーブーム(1947~1949年)に生まれた方々が全員75歳以上の後期高齢者となるタイミングです。つまり、後期高齢者が一気に増えてしまうのです。 厚生労働省の試算によると、2025年に後期高齢者は約 3,500万人に達すると見込まれており、この後期高齢者の人数が問題視され、2025年問題と名付けられました。
1-2.後期高齢者が増えることの何が問題なのか
75歳以上の後期高齢者が増えることの何が問題なのかというと、ずばりこれからご紹介する医療だけでなく、介護や社会的な問題も絡んでいます。 長生きすればその分、病気になりますし、病気が長期化すれば介護も必要となるので、医療や介護の力を借りなければ生きていけません。2025年には高齢者の世帯の約7割が1人暮らしもしくは高齢夫婦のみの世帯が占めると見込まれており、老老介護もしくは介護の担い手がいないという点も問題視されています。さらに近年、不安定な経済状況によるこれまでためたお金あるいは年金では生活がしていけない、働きたくても雇用してくれるところがないなど経済格差も問題視され、この経済格差が健康問題にも直結してしまうということが2025年問題の1つと考えられています。
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2.2025年問題が医療に与える影響は?

2025年問題によって最も影響すると考えられている医療。2025年問題に直面することで、医療の分野でどのような影響が出るのかを詳しく解説していきます。
2-1.慢性疾患の罹患者が増加して医療の需要と供給のバランスが崩れる
後期高齢者の増加に伴い、生活習慣病であるがんや心疾患、脳血管障害などの慢性的に付き合うべき疾患や 認知症を抱える高齢者が急増する可能性が危惧されています。特に認知症高齢者の増加については、2025 年には約 320 万人になるという推計結果も出ており、65歳以上で見ても、5人に1人が認知症となることが見込まれています。 疾病を抱える高齢者が増えれば当然ながら医療需要が高まります。そうすると医療の需要と供給のバランスが崩れてしまい、医療を受けたくても受けられないという状況が発生する可能性があるのです。
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2-2.複数の疾病を抱えなおかつ長期化することで、別の医療機能が必要となる
1つの疾病だけでなく、複数の疾病を抱えたり、障害を抱えたりする可能性も高まります。 医療需要が高まる一方で、人手不足などの理由で医療機関が減少することで、病院への長期入院が難しくなり、 医療や介護の力を借りながら在宅生活を送らなければならなくなります。 それにより、在宅医療をはじめとした、病院とはまた別の医療機能が必要となる可能性が考えられるのです。
3.2025年問題が看護師に与える影響は?
医療の分野になくてはならない看護師という存在。2025年問題は医療だけでなく看護師にも影響を与えます。 ここからは、20025年問題が看護師に与える影響について解説します。
3-1.看護師不足により看護配置に影響が出て看護師の負担が増える
医療機能の需要が増えると必然的に看護師の需要も増えてきます。 とはいえ、現場の看護師の人数が着実に増えているということではありません。 厚労省が発表したデータによると、2025年における看護職員の供給推計は約175万~182万人である一方、 必要とされる看護医の人数は約188万~202万人です。看護師の人数は増えている、足りているという話も一部では出ていますが、厚労省の需要推計と比較すると現場の看護師は必要な人数を確保できていないということが分かります。 2025年問題によって医療機能の需要が高まれば、結果として看護配置に影響が出てしまいます。現在、これまで7:1の配置で看護をしていた病院でも看護師の不足により10:1に変えざるを得ないところもでてきており、看護師の負担が増す一方であると考えられるのです。
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3-2.在宅看護の需要が拡大して働き方の選択肢が拡大する
医療の需要と供給のバランスが乱れることで、在宅で医療を受けながら生活をしていくことが余儀なくされます。 そうなると、訪問看護をはじめとした在宅看護の需要が急拡大すると予測されます。 これまでは、病院や診療所が看護師の一般的な就職先であったのが、在宅療養者が増加することを見込んで訪問看護、介護施設など看護師がさまざまな働き方を気軽に選択できるようになるといえます。 そのため、今までよりも、より柔軟に看護師として働くことができるようになるでしょう。
4.2025年問題を乗り越えるための対策とは?

迫りくる2025年問題に対して、国もさまざまな対策を練っています。 医療や看護師に直結する2025年問題の対策にはどのようなものがあるのでしょうか。
4-1.看護師の雇用を促進!そのためには環境も整える
正看護師、准看護師の潜在率は2018年末時点で32.98%とされており、看護師資格を所有する看護師のうち約3割が働いていません。 看護師の人材不足を改善するためには、まず潜在看護師に復職してもらうことが必要といえます。ほかにも、看護師の早期離職が防げるような環境を整えたり、 看護師養成施設を確保していくのも看護師雇用促進の観点から急務といえます。
4-2.地域と医療機関が密に連携する
地域に医療の需要が高まるということもあり、地域医療と密に連携していくことも非常に重要になるといえます。 医療機関が看護師の専門外来を作ったり、病院でネットワークを構築したり、地域医療に参入したりして 地域のニーズに寄り添った医療を展開するのも2025年問題を乗り越えるうえで大切になります。
まとめ
後期高齢者が爆発的に増えることで社会だけでなく医療や看護にも大きな影響を与えることが危惧されています。 迫りくる2025年問題に備えて今、このタイミングから、医療機関や看護師にできることを積極的に行っていくことも重要になるかもしれません。 働く環境、働き方を2025年問題に備えて今から考えてみてはいかがでしょうか。2025年問題以外にも医療や看護にまつわる他テーマの記事もぜひチェックしてみてください!
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